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まず、お湯を沸かします。お水は、浄水器などでカルキ臭を取ると、より美味しいコーヒーが淹れられます。天然水などでこだわってもおもしろいです。それぞれの水質によって、コーヒーの香味がはっきりと変わりますよ。
沸いたお湯はドリップに使うだけでなく、コーヒーサーバーやコーヒーカップを温めるのにも使用します。少し多めに沸かすのがコツです。自珈亭では、金属臭のつきにくいホーロー系ポットなどを用いて湯を沸かします。沸騰後のお湯を、ドリップのための適温にするために、沸かすポットとドリップで使うポットをわけています。
この左写真のホーロー製ポット。多くのお店、デパートでよく見かけます。
ドリップポットの名で売られていますが、家庭用ドリップ」には不向きです。ご購入を検討されている方ご留意ください。理由は、注ぎ口が太すぎて、微妙なドリップコントロールが難しいこと。そして、細く注ぐとお湯がねじれながら注がれますので、粉を必要以上に暴れさせてしまいます。
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お湯を沸かしている間に、下記のものを準備します。
①コーヒーサーバー
ガラスのものがお薦めです。透明感により濃度の確認、的確なドリップ量の確認ができる。
ガラスは茶渋が染み付きにくい。などの明確な理由があります。
②ドリッパー + ペーパーフィルター をセッティング
③お気に入りコーヒーカップの準備
④手ぬぐいは、ドリップポットのフタなどの熱くなるものを持つときに便利
また、サーバーの下に敷けば、断熱効果で珈琲が冷めるのを軽減します
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焙煎されたコーヒーを、グラインダー(コーヒーミル)で粉砕します。
飲みたい豆を準備し、グラインダーに投入し粉砕します。
ここでは「2人分+α(少しのおかわり用) 濃さほんのちょっと薄め」の300ccを淹れるために、10gコーヒー計量スプーン一杯の焙煎豆を投入しました。
グラインダーの細かさ設定は中細~中です。細かいほうが、比較的濃く落ちます。粗く挽くと、雑味の少ないすっきりとしたコーヒーがはいります
コーヒーの濃さは、飲む方のお好みに合わせて調節してください。セオリーはありません。今回の自珈亭の〝濃さ〟も目安にご利用くださればと思います。高品質のコーヒーは、一般に袋詰めや缶詰で売っているコーヒーとまったく違った濃度感で出来上がります。落ちている色が薄くても、香味はしっかりしています。「いつもの濃さ」で淹れると正直〝猛烈に濃い〟コーヒーになります。
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そろそろお湯が沸く頃です。
お湯が沸いたらまず、サーバーと、ドリッパーにセットされた粉の入っていないペーパーフィルターに、余熱用のお湯を少量注ぎます。この作業は、ネルやペーパーなど、吸水性のあるフィルターをご使用の際に行う工程です。
この後、やかんや鍋などがら、細口ドリップポットにお湯を移し変えます。こうすることにより、お湯は熱湯からドリップに適した程々の湯温に下がってゆきます。
自珈亭は、左写真のホーロードリップポットを抽出では使いません。なぜならば、〝口〟が太くて繊細なお湯を落とせないからです。お湯を、このホーローポットから、左下写真の細口ステンレスポットに移し変えてドリップしています。
湯温は高すぎると香味に変質をきたし(主に口に残り続けるような苦味が増えます)、低すぎるとペーパードリップでは十分に香味を引き出せない(早くお湯が通過するので薄く落ちます)傾向を示します。沸騰が収まり、やかんのふたを開け、ひと息ついたくらいのタイミングで注ぎ換えをします。
コーヒー業界の先生方によりまちまちですが、82℃~93℃くらいと言われる方が多いようです。熱いほど苦味が出て、低いほど酸味が出やすくなる傾向をもっています。
ちなみに、自珈亭は85℃強くらいがお気に入りです。
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ドリップ作業にはいります。
ドリッパーにセットされたペーパーフィルターには、コーヒーの粉をセットします。粉は、上面が平らになるように揺らしてならします。何かで押し付けたりする必要はありません。
まずは、蒸らし行程です。
サーバーの、余熱用のお湯を捨てます。
次に豆を蒸らします。少量のお湯を、豆粉の中心部分にそっと適量注ぎます。ドリッパーから少量のコーヒーが落ちてくるくらいで、中心に注いだけれども周辺の粉までお湯が浸透していく感じが目安です。
この時点で失敗したなと思われる場合は、
・お湯の注ぎ方が強すぎ(太すぎ)る
・ドリッパーの周囲 (フィルターより) に注いでしまっている
・中心だけあまりにも点のように注いでいる
などが考えられます。何度かトライして慣れてくれば、すぐに上手になります。
ある程度思い切って中央部に小さな円を描くように注ぎましょう。
蒸らすことが目的ですので、大量には注ぎません。中心部にお湯を置いていく感じです。くれぐれも、ペーパーの周囲には、お湯をかけないように注意してください。
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豆が煎りたて(1日寝かし)~1週間くらいまでの高い鮮度のお豆で、かつ挽きたてならば、粉がキノコのように膨らんできます。鮮度が良くても、焙煎度が深い、湿気を吸ってしまっている、挽き立てで無い場合は膨らみは弱くなったり、膨らまなかったりします。
ブクブクとガスが抜けながら膨らんでくる豆粉の動きが収まったら、本番のお湯を注ぐ準備に入ります。注いでから、30秒くらいのイメージかと思われます。この時間は、お豆の挽き具合、鮮度、焙煎度などによっても異なりますので目安です。ぶくぶくと膨らんだお豆が、固そうな面持ちとなったらOKです。
この〝蒸らし〟をしないで、少しずつ注いでいってしまう方法もあります。
ひとつのドリップ方法になれてきたらセオリーを超えて、いろいろなドリップに挑戦してみるのも自分コーヒーのあり方かもしれません。失敗もご愛嬌、それでコーヒーの世界は広がっていきます。 |
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粉の中心部で小さく〝の〟又は〝○〟の字を書きながら、お湯を注いでいきます。くれぐれも、ペーパーフィルターの周囲には、お湯をかけないように注意してください。ペーパーの周囲に着くコーヒー豆(珈琲の壁)は、コーヒーエキスの無駄のない抽出と、アクの流出のブロックに大切な役目を果たしています。流し落としてはいけません。
ドリッパーの高さいっぱいいっぱいまでお湯を注ぐ必要はありません。このお湯の注ぐ量でも、コーヒーの濃度が変わってきますが、基本はお豆の膨らみがフィルターに着きながら壁になってくれる高さ以下で注ぎます。お豆の鮮度が良くない時などは、「珈琲の壁」が出来ず、少なく注がざるを得ない状況になります。結果的に最良の抽出はできなくなります。
二度目の注湯は、最初に注いだときに出来上がったコーヒーの壁を越えることないように。その後は必要な分量、又は必要な濃さになるまで、お湯を注ぎ足しながらドリップします。注ぎ点は、やはり中央部です。コーヒーの壁を流し落としてはいけません。
粉が少ないときは、中心の一点に注ぐだけでもOKです。
注ぐお湯は、なるべく垂直に落ちるように心がけ、水流でフィルター周囲の壁が壊れないように、注意してください。
左の写真では、約300cc弱の抽出液確保を目指しています。抽出されるコーヒーの濃さは、〝普通〟から〝ちょっと薄め〟くらいで落ちます。焙煎具合によって状況は変わってきます。高品質なお豆は、いわゆる「量販物」よりも、濃くはいって驚きの連絡をくれる方が多いです。抽出液の色が薄くても、予測以上の香味・コクが出ます。
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ミニ知識 |
美味しいといわれるコーヒーには、コク(深味)とキレが存在します。
これは、コーヒー豆がお湯に浸かっている時間が長いことにより悪い方向に作用します。症状としては、口に残り続ける嫌な苦味が抽出されてしまう現象です。嫌な酸味が口に残り続けるのは、生豆の品質に問題があることがほとんどの理由です。
つまり、ゆっくりお湯を注いで煎れる方法を採った場合、嫌な苦みが出る可能性が高くなりますので、対処としては
お湯の温度を下げ目にする
粉の量を少なくしてゆっくり注いでもそこそこの時間内にドリップが終わるようにする
粉の挽きを粗くする
注油量を増やい高い位置まで注ぐ
などの手立てが必要になります。
また、少ない人数分しかドリップしないというのも、美味しいコーヒーを淹れる手立てです。様々な手立てを組み合わせることで、ドリップをコントロールするのは楽しいものです。
これでお解り頂けるように、必要量を淹れるために適切なサイズのドリッパーを選択するということは、大変重要なポイントになります。
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ドリッパーに溜まっているお湯が、最後まで落ちきるのを待つ必要はありません。ドリップを切り上げるときに、お湯が残っている状態で終わるようにします。もったいないと感じても、目標量が落ちたら思い切ってサーバーからはずしてしまいましょう。
実は、アクが落ちてしまうから早くはずす とよく聞きますが、当店のお豆で〝アク〟を感じたことはありません。はずしたドリッパーの、残りの抽出液だけをカップに受け取り、何種類もの銘柄を飲んでみましたので、特別な問題は無いように思いますが、好みの濃さの維持のために思い切ってはずします。
蒸らし無しで注いだ抽出の場合は、お湯の量を少なめにとどめ、ほぼ同じ量を維持するように、コーヒーの粉と泡が浮かんでいるのがくぼみ出す前にドリッパーをサーバーからはずしてしまいます。
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ドリップ完了、出来上がりです。
お気に入りのコーヒーカップの余熱用のお湯を捨てます。
サーバーは、温めたスプーンでひと回しして、上下の濃さを均一にして、さらにフタをして冷めないように。そして、テーブルサービスを・・(^-^)
最高のコーヒータイムをお楽しみくださいませ。
一度熱せられたコーヒーは、思ったよりも早くに香味の劣化が起きます。なので保温器の上にサーバーをおいている最中でも、香味は劣化していきます。
できる限り淹れたてのコーヒーをおたのしみくださいね♪§^_^§
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