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有機栽培コーヒー生豆やフェアトレードコーヒー生豆などを推奨する有機農産物小分け業者認証 家庭焙煎コーヒーショップ


美味しくて健康的、胃もたれしないコーヒー造りはハンドピックから・・

不良豆=欠点豆 と そのハンドピックについての まめ知識

 みかんを一箱買ったときに、全てがベストの状態の果実ではないように、農産物であるコーヒー豆にも不具合が見られるお豆が混入しています。これは、豆の選別の際に手間をかければ取り除くことは可能です。この選別を施した豆は、豆のグレードなどの〝価格・品質〟に反映されて、私たちの手に届けられるのです。

 従って、よいグレードの生豆を入手することは欠点豆の混入を削減することが可能と言えますが、すべてを現地での選別作業に任せきるのはかなり難しいといえます。日本までの輸送期間、保管環境などにより生鮮品である生豆はどうしても傷みを生じます。よく自店の取扱い豆を「高級品を使っているからハンドピック(欠点豆の除去作業)をする必要がない」などと言われる店舗さまがいらっしゃいますが、少なくとも、自珈亭がこれまで手にしてきた最高品質グレードの生豆の中に、欠点豆を除去しなくてもすんだものはありません。どんなに高価で高品質なスペシャリティコーヒーを手にしても、必ず欠点豆は混入しているのです。

 このページでは、欠点豆とはどのようなものなのか、欠点豆があると何が起きるのかなどのい・ろ・はを勉強します。

欠点豆

欠点豆とは
 コーヒーを美味しく飲むのに適していないコーヒー豆の総称です。その内容は様々ですが、主には傷み、異物、生育問題、煎りムラ などのある生豆または焙煎豆の事を指します。
こういった豆は、結果的に焙煎においての煎りムラや、コーヒーの香味を落とす、胃もたれや吐き気や腹下しに繋がるものとなり、視覚と嗅覚と味覚で楽しむコーヒーの楽しみを阻害するものになります。
   
欠点豆の影響
 前述のように、コーヒーが美味しくなくなる、美しさを阻害するというのが主だった影響です。
また、経験された方も多いと思いますが、体への影響は深刻です。これが原因で、「コーヒーが苦手」「コーヒーが身体に合わない」とか「コーヒーが嫌い」という方もいらっしゃるくらいです。まとめますと

 味への影響   =  嫌な苦味、妙な酸っぱさ、焦げ臭、異臭、香りの減少
 視覚への影響 =  色ムラ、形状ムラ、濁り、
 健康への影響 =  胃もたれ、胸焼け、下痢、吐き気
    
欠点豆を無くす方法
 ハイグレード・高品質のコーヒー豆を選ぶことで減少される傾向があります。逆を言うと、低グレードや低品質なコーヒー豆を選択すると、そのほぼ全てが欠点豆という銘柄も実際に存在しています。
 とはいえ、銘柄によっては、ハイグレードでも欠点豆混入率が多少多目のものもあります。いずれにしても完全なるコーヒー生豆を最初から手にするのは困難な為、より目利きが必要になってくるわけです。
  
 欠点豆は、焙煎されてしまうと見た目では解りずらくなる性質を持っており、さらに抽出後(ドリップ後)では見た目で判断することは極めて困難になります。
ですので生豆の時に先ず取り除き、更に焙煎後にも取り除く事で高い確率で除去することが可能です。但し、手間暇がかかることから大量焙煎・大量販売のコーヒーでは取り除かれていないことが多いのです。

 このような欠点豆の除去作業のことをハンドピックといいます。
その作業の名前の通り、眼で見て確認しながら手で一つずつ欠点豆を拾いあげます。
  
 それでは次に、この欠点豆を除去して美味しいコーヒーを煎り、淹れる為の「ハンドピック」に挑戦できるよう、主な欠点豆のサンプル画像をご用意してみました。
 現在取り扱っている品質の重めの中に混入していることがほとんどない欠点豆もあり、創業時の様々な銘柄を試している際の画像を用いていますので、なかなか現物のイメージを表現しにくいもので恐縮ですが、皆さまのお役に立てば幸いです。
  

様々な欠点豆

 欠点豆の混入していないコーヒー豆なんてまずありません。丁寧に「美味しくなーれ」と取り除きましょう
  

貝殻豆

豆の精製工程の乾燥に問題があって出来た豆です。見た目にはっきりとした違いがあるため見分けやすいです。これは、煎りムラの原因となり、珈琲の味の安定に支障をきたします。

右側の白っぽいものが生豆の状態です。左側の茶色いものが煎ってしまった状態です。煎りムラは生じていませんでしたが、できる限り焙煎前に除去しておきたい欠点豆ですね。

割れ豆

乾燥ムラがあったり、移送中の衝撃で豆が割れてしまったり、焙煎の衝撃や弾けで豆が割れてしまったものです。これは、煎りムラの原因となり、珈琲の味の安定に支障をきたします。

写真の右側の白っぽい3個が生豆の状態です。また、左側のものが焙煎の最中に生じる割れです。特に左下のふたつは焙煎時の衝撃でよく生じやすい症状です。それほど深煎りではないのに割れた箇所が焦げているのがよくわかります。このタイプは、傷んだ豆とは違うので飲んでも支障はないのですが、当然ながら焦げ臭による異臭のもととなります。従って、アイスコーヒーやカフェ・オ・レなどに使ってみるのも一つの無駄をなくす手だてでもあります。

虫食い豆

蛾の幼虫などが豆を食い入りこんだものです。視点を変えてみると、この豆が殺虫剤を多量に使用していない証拠でもありますが、やはり気持ちのよいものではありません。これは、異臭や濁りの原因になります。

上の3粒の画像が生豆の状態です。この状態でもはっきりと虫食いの穴を確認できます。下はこれを煎ってしまった状態です。虫食いの穴の周囲が焦げているのが確認できます。この煎りムラによる焦げや、中に幼虫が残っている場合の異臭や違和感のある味により、珈琲の美味しさを損ねてしまいます。


黒豆

発酵豆の発酵が進むと生豆が黒く萎縮します。カビ豆のカビが進んだものも、黒く萎縮しますので黒豆のようになります。これらは、腐りきった豆ですので、腐敗臭を発する原因となります。珈琲に濁りがあるのは、この豆が混入したまま抽出されているからといわれています。

その名の通り、生豆の状態で他の豆と違う黒ずんだ色をしているので発見は容易です。


発育不良豆・ベルジ

十分に成長しきれなかった豆です。小さいものや、成熟前に摘み取られいびつなものなどがあります。これは、嫌な酸味や渋み、青臭さなどの原因といわれています。

画像の上部3粒が未成熟豆です。下の正常な豆2粒とは大きさが異なっているのが確認できるかと思います。また、ベルジは成熟豆と同じような大きさのものもあり、注意が必要です。表面が雛あられのように白くがさがさして、色も白っぽいものが怪しいなと見分ける方法です。

パーチメント

コーヒー豆となる胚乳の外側にシルバースキンがあり、これの外側を覆う内果皮のことをパーチメントと呼び、精製過程で本来ははがされるはずのものです。これがはがれていない欠点豆のことをこの名前で呼びます。これは、焙煎時に火のとおりが悪くなるので、煎りムラが生じます。えぐみ、渋みの原因にもなります。
はっきりと他の豆とは異なる殻のようなものがついています。自珈亭では、店舗用で仕入れた高品質豆の中にパーチメントを発見できず、サンプル画像はありませんが、もしみなさまのお手元でこの豆が発見されてもすぐにわかるはずです。

カビ豆

精製工程の乾燥の不具合、保管中の不具合などで、青カビや、白カビが発生した状態の豆のことを指します。これは、当然ながらカビ臭の原因となります。

よく見ると豆の一部が黒っぽく変色していたり、緑色の見慣れたカビが生えていたりします。また、豆の真ん中の線(センターカット)の隙間に、黒カビや緑色のカビが生えていることがあるのは要注意です。ですが、比較的わかりやすい欠点豆です。

死豆

正確に結実しなかった豆で、炒っても焙煎色のつきが遅いので、特に焙煎後に見分けやすい豆です。しかし、深煎りの場合には、なかなか発見ができないので、是非とも焙煎前のハンドピックで除去したいものです。これは、風味そのものが希薄で、異臭の元になるといわれています。

正直見分けにくいと思います。基本的にはその名の通り生気のない乳白色の、のっぺりとしたミテクレが特徴です。しかし、良い豆なのにもともとこの死豆と似た表面を持つ銘柄もあるので厄介です。ある程度を焙煎前にハンドピックした後、焙煎をします。その後すぐに他の豆よりも色づきの悪い豆をハンドピックします。但し、深煎りをしてしまうとこれもわからなくなりますので注意が必要です。

発酵豆

精製過程で発酵工程や水洗工程の不具合で、豆の内部まで発酵してしまった豆のことです。発酵初期の豆の見分けが付きにくく、ハンドピックには細心の注意が必要です。これは、 発酵臭の原因となるといわれています。

右画像や黒豆のようにはっきりと進行した発酵豆の発見は容易ですが、進行度合いの浅いものの発見が困難です。豆の奥底に変色があるものや、死豆のように生気を失いかけている豆などが要注意です。

レッドスキン

生豆が、自然乾燥時に雨をかぶることによって生じる症状です。ブラジル産のコーヒーによく見られるといわれ、赤っぽい線がつく症状の豆です。別称、雨かぶりとか、パケッタードともいわれます。これは、味を平坦で希薄なものにしてしまうといわれています。

コッコ

脱穀の不具合が原因で、コーヒーの実の果肉がそのまま残ってしまっている豆のことです。これは、ヨード臭や、土臭、アンモニア臭などの原因といわれています。

自珈亭では、店舗用で仕入れた中に〝コッコ〟を発見したことはありません。よって、サンプル画像はありませんが、もしみなさまのお手元でこの豆が発見されてもすぐにわかるはずです。

シルバースキン

いわゆる欠点豆として取りあげられることはありませんが、しっかりと厚くシルバースキンをかぶってしまっていると、右画像のように焙煎後もシルバースキンがはがれないものが間々あります。

当然焙煎ムラが生じていますので、雑味の原因となります。焙煎後にハンドピックします。見た感じで艶がなくざらざらした表面になっていますので、見ただけで容易にわかるかと思われます。

混入物

小石や穀物、小枝、わらクズなど、コーヒー豆以外の混入物のことです

お豆ではないので、見ればすぐにわかります。

異形豆〔大型豆・ピーベリー〕

悪い豆ではないのですが、豆の中でひときわ大きいものや、ピーベリー(右画)などは、他の多数の豆と火の入り方が違うためハンドピックします。自珈亭では、このような豆はまとめておいて、粒を揃えた後で焙煎して楽しみます(^-^)

火のとおり方が異なるような豆は、全体の味のバランスを崩しますのでハンドピックしてしまいます。そして、そのような豆を集めて改めて焙煎するのもまた、家庭焙煎の楽しみでもあったりしますよね。


 いろいろ書いてきましたが、欠点豆のミテクレや名前を先に覚えるのは得策ではありません。あまり細かいことは考えずに、ハンドピックの為にザっと広げたコーヒー生豆の中から「異質な表情」をしている豆を取り出せば、その殆どは欠点豆という感じに捉えておいてもらった方が良いです。

 迷ったときはまごつかずに、 「えーい、外しちゃえぃ p(>_<)q 」
と思い切ってしまうのが、美味しいコーヒーを煎るコツですよ。